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Skobelev, I. Yu.*; Ryazantsev, S. N.*; Kulikov, R. K.*; Sedov, M. V.*; Filippov, E. D.*; Pikuz, S. A.*; 浅井 孝文*; 金崎 真聡*; 山内 知也*; 神野 智史; et al.
Photonics (Internet), 10(11), p.1250_1 - 1250_11, 2023/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Optics)物質が高強度レーザーパルスと相互作用して生成されるプラズマの電荷状態の発展において、光電場と衝突電離の影響を明確に区別することは困難である。この研究では、プラズマキネティクスの時間依存計算を用いて、クラスターが十分に小さい低密度のガス状ターゲットを用いた場合にのみ可能であることを示した。Arプラズマの場合、クラスター半径の上限はmと見積もられた。
Kim, C. M.*; Steil, H.*; Matou, B.*; 錦野 将元; 長谷川 登; 河内 哲哉; Tran, K. A.*; Janulewicz, K. A.*
Physical Review A, 92(4), p.043807_1 - 043807_7, 2015/10
被引用回数:3 パーセンタイル:18.93(Optics)過渡利得方式のニッケル様銀レーザーの偏光を測定した。偏光選択性を予め校正した多層膜ビームスプリッターを用いて、二つの偏光成分(sおよびp偏光)のエネルギーを決定し、その結果、ショットごとにふらつきはあるものの、明確に偏光していることを見出した。強い偏光成分は、励起レーザー光を強くすることでs偏光からp偏光に代わることも見出した。実験結果をマクスウェル=ブロッホ方程式を用いた数値計算との比較により議論された。
西内 満美子
放射線化学(インターネット), (97), p.13 - 27, 2014/00
超高強度レーザーと薄膜ターゲットの相互作用によって初めて陽子が発生したのが確認されてから、15年が経過した。初期の段階ではキロジュールクラスのエネルギーのレーザーパルスを用いて、50MeVの陽子線が発生していたが、現状に至っては、小型の繰り返しの効くレーザーによって、同党の陽子線が発生できるようになってきて、様々な応用への展開が見え始めてきた。本稿においては、レーザー駆動イオン線に関する特徴や、最近の研究結果などについてレビューする。
匂坂 明人; 内海 隆行*; 大道 博行; 小倉 浩一; 織茂 聡; 高井 満美子; 林 由紀雄; 森 道昭; 余語 覚文; 加道 雅孝; et al.
Journal of Plasma Physics, 72(6), p.1281 - 1284, 2006/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Physics, Fluids & Plasmas)高強度レーザーと物質との相互作用により、高エネルギー粒子(イオン,電子)やX線が生成される。ここで発生した高エネルギー粒子等は、さまざまな応用が提案されテーブルトップの放射線源として注目されている。このような高強度レーザーと物質との相互作用の物理過程を調べるうえで、レーザーのプリパルスによって生成されるプリプラズマを評価しておく必要がある。本研究では、高強度レーザーを金属ターゲットに照射した時のプラズマ密度プロファイルを干渉計測により測定し、測定結果を多次元流体シミュレーションコードによる計算と比較した。実験は、チタンサファイアレーザー(中心波長800nm,パルス幅50fs)を集光用のポンプ光と計測用のプローブ光に分け、ポンプ光をアルミターゲットに照射し、発生するプリプラズマをプローブ光の干渉計測によって測定した。ポンプ光の集光強度は510W/cmであり、干渉縞はバイプリズムを用いてレーザービームの波面を傾けることによって生成した。ポンプ光とプローブ光の時間差を調整することにより、メインパルスの約10ps前からプリプラズマの測定を行った。測定結果を多次元流体シミュレーションコードによる計算と比較し、プリパルスとの関連性を調べた。
Bulanov, S. V.; 山極 満; Esirkepov, T. Z.; Koga, J. K.; 神門 正城; 上島 豊; 斎藤 寛二; 若林 大輔*
Physics of Plasmas, 12(7), p.073103_1 - 073103_11, 2005/07
被引用回数:27 パーセンタイル:64.45(Physics, Fluids & Plasmas)有限の長さのプラズマ中を伝播する短パルス高強度レーザーと電子に関する理論的考察及び2次元Particle in Cellシミュレーションについて報告する。色々なプラズマ密度での中-高強度照射による高速電子のエネルギースペクトルと空間エミッタンスを解析した。プラズマの航跡場の波長よりもレーザーのパルス幅が長い領域では、航跡場で加速された電子はさらに電磁波によって加速されることがわかった。
Hansen, S. B.*; Fournier, K. B.*; Faenov, A. Y.*; Magunov, A. I.*; Pikuz, T. A.*; Skobelev, I. Y.*; 福田 祐仁; 赤羽 温; 青山 誠; 井上 典洋*; et al.
Physical Review E, 71(1), p.016408_1 - 016408_9, 2005/01
被引用回数:16 パーセンタイル:57.59(Physics, Fluids & Plasmas)原研100TWレーザーを直径約1mのKrクラスターに照射し、Ne-like Krイオンの'遷移に由来するX線スペクトルを測定した。X線スペクトルの入射レーザー光の強度に対する依存性は弱かった。このことは、クラスターの寿命(1-2ps)が、衝突イオン化で生成した多価イオンのイオン化レベルをNe-like Krまでに留めていることを示唆している。 相対論的多配置FACコードに基づいた衝突放射モデルを作成し、実験結果のシミュレーションを行った。その結果、クラスタープラズマの電子密度=10cm,温度=数百eV,高速電子含有率=数%という結果が得られた。
福田 祐仁; 赤羽 温; 青山 誠; 井上 典洋*; 上田 英樹; 中井 善基*; 辻 公一*; 山川 考一; 弘中 陽一郎*; 岸村 浩明*; et al.
Applied Physics Letters, 85(21), p.5099 - 5101, 2004/11
被引用回数:11 パーセンタイル:42.73(Physics, Applied)レーザー光(レーザー強度610W/cm,パルス幅30fs)を巨大アルゴンクラスターに照射して発生させたX線を用いてSi(111)結晶からのX線回折実験を行った。発生したHe線(3.14keV)のフォトン数、及び、線幅は、それぞれ、410photons/shot/4sr、及び、3.7eV(FWHM)であった。これらは、時間分解X線回折実験を行うためのデブリフリー光源として十分な値を有している。
Koga, J. K.
Physical Review E, 70(5), p.056404_1 - 056404_5, 2004/11
被引用回数:3 パーセンタイル:16.6(Physics, Fluids & Plasmas)中性ガス中における高パワー短パルスレーザーの伝播は、複雑な現象である。その詳細な伝播ダイナミクスを解析するために、バックグラウンド中性ガス分極の有限応答時間と光イオン化を含むマクスウェル方程式を直接解くコードを開発した。高パワーレーザーパルスの水素様ガス中の伝播についての大規模2次元シミュレーションにおいて、超広帯域の白色光、いわゆるスーパーコンティニュウムが生成されることを見いだした。
Koga, J. K.
Physical Review E, 70(4), p.046502_1 - 046502_5, 2004/10
被引用回数:39 パーセンタイル:79.33(Physics, Fluids & Plasmas)通常、電磁場と相互作用する電子の運動は放射減衰の影響をほとんど受けない。一方、ペタワットクラスのレーザーを集光すると、相互作用する電子が極短時間微小領域において相対論的となり、放射量が極めて大きく、結果として電子運動の減衰が顕著となり得る。このような問題を取り扱うために、強電磁場と相互作用する単一電子の時間発展を解く計算コードを開発した。通常、電子の運動方程式は放射減衰を摂動として取り扱い、ローレンツ-ディラック方程式より導かれる。この運動方程式を用いて時間的に前進させ、その後ローレンツ-ディラック方程式により時間的に遡った積分を行い、結果を比較した。波長が極めて短く、超高強度の場合には、これら積分に差異が生じることを見いだした。一方、電子運動が古典的領域にあるときは、この差異は無視でき、1次のオーダーの減衰方程式が適用できる。
小瀧 秀行; 益田 伸一; 神門 正城; 近藤 修司; 金沢 修平; 本間 隆之; 中島 一久
Quantum Aspects of Beam Physics 2003, p.119 - 124, 2004/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.4(Astronomy & Astrophysics)高強度レーザーからの高強度電子ビーム発生の可能性について研究した。高強度レーザーパルスは、プラズマ中にウェーク場を発生させる。周波数干渉計測(FDI)によって、2TW,50fsレーザーによるガスジェットプラズマ中のコヒーレントウェーク場は測定されている。この測定により高エネルギー勾配の20GeV/mのウェーク場を測定した。これにより、ガスジェットプラズマ中のウェーク場を初めて観測した。この結果をシミュレーションと比較し、よく一致した。この周波数干渉計測システムは、高エネルギー電子発生システムにモディファイすることができる。1D PICシミュレーションにより、これについての高エネルギー電子発生のシミュレーションを行った結果、高品質の電子ビーム発生を確認した。これにより、高エネルギー高品質電子ビーム発生の可能性を示唆することができた。
Smirnov, M. B.*; Skobelev, I. Y.*; Magunov, A. I.*; Faenov, A. Y.*; Pikuz, T. A.*; 福田 祐仁; 山川 考一; 赤羽 温; 青山 誠; 井上 典洋*; et al.
Journal of Experimental and Theoretical Physics, 98(6), p.1123 - 1132, 2004/06
高強度レーザーと10-10個の原子から構成される巨大クラスター(マイクロドロップレット)との相互作用について検討を行った。巨大クラスターの大きさは、レーザー波長に匹敵する大きさである。高強度レーザーパルス照射によって誘起される巨大クラスターのダイナミクスを記述するモデルを開発し、レーザーパルス通過後に起こるさまざまな過程を解析した。その結果、巨大クラスタープラズマは過熱状態にあることが理論的に示された。すなわち、プラズマの温度は、プラズマ中の多価イオンのイオン化ポテンシャルにほぼ等しいことがわかった。また、巨大クラスタープラズマのパラメータは、レーザーパルスの形状やパルス幅に依存しないことがわかった。これら理論的結果は、日本原子力研究所100TWレーザーのパラメータをさまざまに変化させながら行った(パルス幅:30-500fs,レーザー強度:610-210W/cm)巨大クリプトンクラスターと巨大キセノンクラスターからのX線測定実験によって支持された。
匂坂 明人; 大道 博行; 小倉 浩一; 織茂 聡; 林 由紀雄; 西内 満美子; 森 道昭; 松門 宏治*; 福見 敦*; Li, Z.*; et al.
Applied Physics B, 78(7-8), p.919 - 922, 2004/05
被引用回数:26 パーセンタイル:71.22(Optics)現在、光量子利用研究グループにおいて、高強度レーザーと物質との相互作用によって生成される高エネルギー粒子(イオン,電子)やX線についての研究を行っている。また発生した高エネルギー粒子やX線については、さまざまな応用が提案されている。高強度レーザーと物質との相互作用過程においては、レーザーのプリパルスによって生成されるプリプラズマの存在を無視することができない。そこで本実験では、高エネルギー粒子やX線の計測と同時にプリプラズマの計測を行った。実験は、チタンサファイアレーザー(中心波長800nm,パルス幅50fs)を金属ターゲットに照射し、発生するイオン,電子,X線の計測と同時にプリプラズマを干渉計測によって調べた。干渉稿は、バイプリズムを用いてレーザービームの波面を傾けることによって生成している。その結果、レーザーの集光領域よりも広い領域にわたってプリプラズマが生成していることがわかった。このことより、高強度レーザーはプラズマと相互作用していることになる。さらに高エネルギー粒子等の最大エネルギーや効率を、プリプラズマとの相互作用としてシミュレーションを行い、比較することが可能となる。今後、より詳細にプリプラズマの状態を調べていく予定である。
Esirkepov, T. Z.; Borghesi, M.*; Bulanov, S. V.; Mourou, G.*; 田島 俊樹
Physical Review Letters, 92(17), p.175003_1 - 175003_4, 2004/04
被引用回数:902 パーセンタイル:99.77(Physics, Multidisciplinary)超高強度レーザー(10W/cm)と薄膜(m)との相互作用による相対論的高密度イオンビーム生成について、理論的検討並びに3次元PIC(Particle-In-Cell)シミュレーションによる検証を行い、光圧によるイオン加速が効率的に生じる結果、イオンエネルギーはGeV領域に達することを示す。
田島 俊樹
パリティ, 19(3), p.4 - 81, 2004/03
高強度レーザー技術の進歩により20年以上も前に提案されたレーザー加速が次第に現実化してきている。これらのレーザーをガスや固体の薄膜などに適当な条件で照射することにより、高エネルギーの電子やさらにはイオンを加速することができる。こうした方法では粒子が極めてコンパクトな距離で加速できるのみならず、ビームの横の(位相空間の)広がり(横エミッタンス)が高質な(すなわち小さい)ことがわかってきた。こうしたレーザー加速の特質を踏まえると、さらにレーザーとレーザーの組合せやレーザーと従来からの加速器技術/施設の掛け合せにより、いままでに到達不可能と思われてきた物理的条件やパラメータ領域に手が届くようになる可能性を指摘できる。これはレーザー(と加速器)によって相対論的物質流などを制御し新しい物質や物理条件を創り出そうとする新しい技術体系で、私は相対論工学と呼んでいる。
松門 宏治*; Esirkepov, T. Z.; 木下 健一*; 大道 博行; 内海 隆行*; Li, Z.*; 福見 敦*; 林 由紀雄; 織茂 聡; 西内 満美子; et al.
Physical Review Letters, 91(21), p.215001_1 - 215001_4, 2003/11
被引用回数:136 パーセンタイル:95.24(Physics, Multidisciplinary)東京大学原子力工学研究施設の超短パルスレーザーを用いたイオン発生実験を行った。レーザーパラメーターは、波長800nm,パルス長50fs,ピーク強度610W/cmでコントラストは10程度,ターゲットは厚さ5mのタンタル箔を用いた。その結果、1MeVのプロトンと2MeVの電子の発生を確認した。この実験結果を解釈するために、ターゲットがプリパルスによって完全にプラズマ化した状態でメインパルスと相互作用をする低密度プラズマスラブを用いた新しいイオン加速機構を導入し、さらにそれに基づくシミュレーションを行った。実験結果とシミュレーション結果は良好な一致を示した。また、新しい加速機構が有する独自のレーザー強度に対するスケーリング側に基づいて、実用的なレーザープラズマイオン源の可能性が示される。
大道 博行
レーザー研究, 31(11), p.696 - 697, 2003/11
本小特集では、超短パルス超高強度レーザーと物質との相互作用に関し、電離,プラズマへのレーザーエネルギーの変換,電子加熱,プラズマからの粒子,X線の放射等について順を追って解説している。超ペタワットレーザーの拓く相対論の世界と題する解説では、相対論的レーザープラズマの中で、電子のみでなく陽子も相対論効果が顕著になる10W/cm以上のレーザー強度のプラズマ物理について論じている。実験室宇宙物理学と題する解説では、繰り返し超短パルス高強度レーザーの特徴を活かした研究テーマを検討する。このようなレーザーによる照射で生じる固体密度プラズマを用いた極限物性状態について論じている。超強磁場生成等超高強度レーザー生成プラズマ中でおこる現象と天体現象との関連を論じている。このほか産業利用に向けた取り組みを紹介し、小特集の位置づけを行っている。
大道 博行
レーザー研究, 31(11), p.698 - 706, 2003/11
現在、集光レーザー光強度10W/cmが達成されておりターゲット照射実験が活発に行われている。レーザーパルス幅を10フェムト秒程度にすることができれば、エネルギー1J程度で強度10W/cmが達成可能である。このレーザーのコヒーレントエネルギーがプラズマ中の電子の相対論的運動エネルギーに変換される過程を論文中で詳しく紹介している。この変換過程はレーザーのコヒーレンスを物質中のコヒーレントエネルギーに変換する過程とも解釈でき、電子はレーザー光伝播方向に集団加速される。発生する高エネルギーイオン,X線等にも指向性が生じる。相互作用を工夫するとエネルギー領域のスペクトルを狭くすることも可能であるとのシミュレーション結果もあり、アイデアを先鋭化させる必要がある。これらの結果は基礎科学に大きく貢献するのみならず、小型高繰り返し運転に支えられた産業利用への発展も示している。
Kim, J.*; Kim, D. E.*; 河内 哲哉; 長谷川 登; 助川 鋼太*; 岩前 敦*; 藤本 孝*
Journal of the Optical Society of Korea, 7(3), p.145 - 149, 2003/09
強い光電界強度によって生成した酸素プラズマにおける電子の速度分布関数の異方性について偏光プラズマ分光の手法を用いて評価した。用いた光源は幅66fs,ピーク強度10W/cmのチタンサファイアレーザーで、この強度においては、光電界電離が主要な電離過程となる。観測においてはプラズマからのリチウム様酸素イオン(Oイオン)の1s2p P-1s4d D(J=1/2-3/2及びJ=3/2-5/2)遷移(波長12.992nm)の偏光を計測した。その際、同種のイオンからの1s 2pP-1s4sS(J=1/2-1/2及びJ=3/2-1/2)を異なる偏光方向に対する計測系の感度の校正に用いた。上記の発光線の偏光度を酸素ガス密度、及び入射レーザーの偏光方向を変えた場合に調べた結果、励起レーザーの偏光状態を直線偏光から円偏光にすることで、発光線の偏光度が下がり、またガス密度を増加させると偏光度が下がることが見いだせた。これらの結果から、プラズマ中の電子速度分布関数の異方性の発生及び緩和についての知見が得られ、プラズマの異方性に起因すると考えられるX線レーザーの偏光制御への足掛かりが得られた。
Bulanov, S. V.*; Esirkepov, T. Z.; 田島 俊樹
Physical Review Letters, 91(8), p.085001_1 - 085001_4, 2003/08
被引用回数:345 パーセンタイル:98.85(Physics, Multidisciplinary)レーザーパルスを、対向して伝播するプラズマ破砕波すなわち相対論的飛翔放物鏡により反射,圧縮,周波数上昇、及び集光させることにより、高強度電磁場を生成する手法を提案する。現行のレーザーシステムに対してこの方法を適用することより、量子電気力学的臨界場(シュウィンガー限界)の達成が可能であることを示す。
森林 健悟
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 205, p.346 - 349, 2003/05
被引用回数:2 パーセンタイル:21.23(Instruments & Instrumentation)高強度レーザーをゼノンやクリプトンクラスターに照射すると、高温高密度状態が発生し、電子衝突電離過程により多価イオン及びその内殻励起状態,多重内殻励起状態が生成され、短波長X線が発生することが観測されている。ここでは、高強度レーザーをゼノンクラスターに照射したときの多価イオン生成過程、及びX線発生過程に関するシミュレーション研究を行った。電子密度を10/cm510/cm,電子温度を140keVとして、X線発生量の密度・温度依存性を調べた。その結果、10cm以上の密度,5keV以上の温度のとき、実験で観測されているようにXeという高電荷イオンからのX線発生量が大きくなることがわかった。また、イオンの電荷が大きくなるにつれて、電子衝突電離断面積が小さくなり、それに伴って内殻励起状態の寿命が長くなり、その結果、X線量が増えることを明らかにした。X線量から評価した密度は、プラズマシミュレーションで算出される値よりも非常に大きい。今後、さらに、原子過程モデルを高精度にするために、電子衝突励起過程など他の高速原子過程を考慮する必要がある。